リレー小説

2008年12月26日

来年届く手紙 その2



昨日はクリスマス。

そんなわけで、今日はクリスマスではないわけで、

クリスマスの話なんかまったく致しません!!


リレー小説行ってみよう。

来年届く手紙その1はコチラ

では続き


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『来年届く手紙』その2  作:天野拓海

10年。
本当に感謝ばかりです。

それはおいしいコーヒーを入れてくれる事。

すてきな映画を沢山教えてくれた事。

誕生日には決まってとびきりでかいケーキを用意してくれる事。

ケンカをした後仲直りした時は
決まって二人で散歩に出かける事なんてのも僕は
実はとても好きだったりします。

花や、空や、月や、雪を眺めながら
ずんずん二人で公園まで歩いていって、
またそうやって一年が終わり、始まり、
その様に過ごせる事は本当に幸せだ。


些細な事だから

その時その時にありがとうを言えないで過ぎて行ってしまいがちだから、
なかなか伝えられないまま過ぎちゃうけど、

本当に感謝をしています。

飽きもせずにずっと続けて行ける相手であってくれる事が
何より大切で嬉しく、

そういう風な時間をアナタと刻んで行ける事がとても嬉しい。

そしてこの先も、

そういう関係がもっと進んで行けばいいなと思っているのだけど、

その前に一つ、今日は僕の話を聞いてほしいんだ。

at 20:24|PermalinkComments(0)

2008年12月22日

来年届く手紙 その1


昨日わりかし暖かいなぁ~なんて思ってましたら、

なんでしょう?今日の寒さ!!

昨日から風は強かったですが、今日は雨+寒風。

どうもこんばんは、自然のSっぷりにも参りますね、河津です。


今日はリレー小説第三弾です。

小説って言うほど大した内容書いてないですけど、なにか?

文句がある方、どうぞ出・・・・・


ごめんなさい。

えぇ、仰る通り返す言葉もございません。

ただ、僕たちだって生きてるんです・・・

どうぞ暖かい目で見守って下さいませませ。

過去作品はこちらをご覧下さいませませ⇒『サクラ・世界でいちばん熱い夏』

読んだ後はうちに石を投げに来ないようお願いします。



さて、今回は

タイトルは天野拓海氏考案の『来年届く手紙』

テーマは「12月31日の出来事」と石田滋氏考案。

いつものように400字以内ルールで

順番は、俺→天野→石田→俺


それでは行ってみよ~!!


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『来年届く手紙』

拝啓


お元気ですか?
なんか手紙だとよそよそしくなってしまうのは何故でしょう?
いつも近くにいるのに不思議なもんだね。
今年で10回目を迎えると言うのに...。

きっとアナタはいつものように

「なんで直接言えないの?」
「なんで教えてくれないの?」
「なんでなんで?」

と、

また僕を問い詰めるのでしょう。

きっと僕は何も答えません。


いつものように笑って誤魔化すしかできません。
何故と言われても言えないものは言えないし、

...言えなかったのです。


ただ毎年大晦日になるとこの気持ちは伝えとこうと思う...。

勝手だね。

日々積み重ねた想いは日々返すのではなく、
今日という日にしか返すことが出来ない男です。
そして辛い言葉も添えてしまいます。
これもまた勝手だね...。

日々感じるあなたの愛に対し、
感謝の念はもちろん、

そして今回はひとつだけ違う事も記します。


あの夏の日...

僕はひとつあなたに嘘を伝えました。


その嘘の真実を添えて...。


at 20:58|PermalinkComments(0)

2008年08月28日

世界でいちばん熱い夏 その四

その一はコチラ 作・天野拓海

その二はコチラ 作・石田滋

その三はコチラ 作・河津浩滉





~最終話~ 作・天野拓海


やるからには勝つ!

あの時河田はそう言ったそうだ。


「俺達を元気づけるために冗談で言ったんだと思ってたけど、自分から喧嘩しにいくなんてな」

墓前で石松がぼやいた。


あれから河田は奴らと毎日喧嘩をした。
当然完膚なきまで負けた。

暴力は何も生まないが、
それは彼が自身を律する気持ちから生まれた下手な行動だった。

そしてある日、ちょっとした行き過ぎで河田は死んだ。


「俺達はただ平和に楽しくずっと仲良く夏休みみたいに過ごせるのが夢みたいなもんだったのにな」


本当はあんな日々は青春なんて言えなかったが、

三人の青春時代と言うとあの時しかなかったんだ。




あれから石松は世界から暴力をなくす事を訴えられる人間になる為、

自ら力の中に身を置くボクサーになり、明日世界戦に挑む。




【やるからには勝つ!】

天沢はこの横断幕を掲げ明日も応援に行く。





「走ろう」


天沢は石松にそう促し、


墓前に向日葵を手向けて二人はあの日の様に走り出した。


三人の描いた明日に向かって。



~完~


『世界でいちばん熱い夏』




at 23:59|PermalinkComments(0)

2008年08月17日

世界でいちばん熱い夏 その三



その一はコチラ

その二はコチラ




~第三話~ 作・河津浩滉


蝉は煽るように鳴く。

三人は潮風を微かに感じ走った。


石松の背を追い、振り返ると涙は乾いたが今度は汗だくの河田がだいぶ小さくなっている。


「石松、河田がもう限界だ!」

天沢の声に振り返った石松は一呼吸置くと真面目な顔して突然大声で言った。


「な~、俺ら親友だよな?」

照れ臭かったのか天沢は笑うしかなかったが、


河田は肩で大きく息をしながら何かを叫んだんだ。





陽炎の中、




天沢は蝉の鳴き声が邪魔をして聞き取れなかったが、

石松は頷くように笑い、

そして泣き崩れるようにその場にしゃがみ込んだ。








『何て言ったのかな~あの時...』

夕立の中、墓前で天沢は呟いた。







あの後、


しゃがみ込んだ石松に近付いた瞬間一目散にまた俺は走りだしたんだ。

仲がいい分弱点を知っている。
親友ってのはやっかいなもんさ。

蝉の死骸を手に石松は俺を追いかけてきた。

アスファルトから土へ、土から砂浜へ、砂浜から海へ。







『青春してたよなぁ~俺ら...』

もう雨は上がっていた。








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2008年08月12日

世界でいちばん熱い夏 その二


その一はコチラ




~第二話~ 作・石田滋


話は少し前に遡る。

元々目つきの悪い河田はとにかく絡まれる事が多く、
それは七高に入学して更に増えた。

だが彼は幼少から泣き虫で、
言いがかりをつけられては絡まれその度に泣いていた。


そんな彼だが、1学期も終わる頃にはこう呼ばれていた。


“七高の泣き虫番長”と。


河田は泣き虫で気弱な性格ではあるが、喧嘩になると七高の誰よりも強かった。
その喧嘩の噂が発端となり、
彼はこの街の全ての名のある高校生達の標的となって、
毎日を狙われ過ごす事となった。


そして石松と天沢と約束をしていたこの日、
街中の強者たちが揃って河田に狙いをかけて来たのだ。

もちろん河田に闘う気などなく、彼は一目散に逃げた。
そして不運な二人を巻き込んでしまい、
結局泣きながらも全て倒してしまうのだった。


“僕は喧嘩なんかしたくない。三人であの夢を叶えたいだけなんだ”


河田は破れたズボンを少し気にしながら、そう思い走り続けていた。



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