感動妄想激走雲行く流れの速さなれ

2008年08月28日

世界でいちばん熱い夏 その四

その一はコチラ 作・天野拓海

その二はコチラ 作・石田滋

その三はコチラ 作・河津浩滉





~最終話~ 作・天野拓海


やるからには勝つ!

あの時河田はそう言ったそうだ。


「俺達を元気づけるために冗談で言ったんだと思ってたけど、自分から喧嘩しにいくなんてな」

墓前で石松がぼやいた。


あれから河田は奴らと毎日喧嘩をした。
当然完膚なきまで負けた。

暴力は何も生まないが、
それは彼が自身を律する気持ちから生まれた下手な行動だった。

そしてある日、ちょっとした行き過ぎで河田は死んだ。


「俺達はただ平和に楽しくずっと仲良く夏休みみたいに過ごせるのが夢みたいなもんだったのにな」


本当はあんな日々は青春なんて言えなかったが、

三人の青春時代と言うとあの時しかなかったんだ。




あれから石松は世界から暴力をなくす事を訴えられる人間になる為、

自ら力の中に身を置くボクサーになり、明日世界戦に挑む。




【やるからには勝つ!】

天沢はこの横断幕を掲げ明日も応援に行く。





「走ろう」


天沢は石松にそう促し、


墓前に向日葵を手向けて二人はあの日の様に走り出した。


三人の描いた明日に向かって。



~完~


『世界でいちばん熱い夏』




at 23:59│Comments(0) リレー小説 

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